「世界は美しくなんかない」
そしてそれ故に、美しい。
この間までこの作品のアニメを放送してたので、ご存知の方もいるかもしれませんね。
これは、電撃文庫という出版社から出版されている『キノの旅』という作品に出てくるキャッチコピーです。
簡単に作品の内容を説明すると、旅人である主人公「キノ」と、しゃべるモトラド(バイク)の「エルメス」の二人(一人と一台?)の旅の話です。
既に20巻以上刊行されている、超人気作。
主人公キノは銃の達人で、旅人になる前に師事していた師匠の教えのおかげもあって、相当腕の立つ人間です。
キノが旅人になった経緯はなかなかに切なく胸が締め付けられる話なのですが、それは置いておいて。
「一つの国に滞在するのは三日間だけ」というポリシーのもと、キノがエルメスに乗りつつ様々な国を毎話旅してまわるお話というのが基本スタイル。
ちなみにどの国も、よそから見るとちょっと、もしくはかなりやばめな問題を抱えています。
例えばネタバレになりますが、長年続いた隣国との戦争を解決して「平和な」国にするため、戦争の代わりに近くに住む無関係の民族を隣国と一緒に虐殺して、より多くの無関係民族を殺せた方が勝ち(正確には、殺した無関係民族たちの合計の重さの数値が大きい方が勝ち)という競い方をしている国、とか。
もちろんこの国は、その無関係民族からかなりの恨みを買ってます。
結構風刺がきいてる話が多いので、寓話的な要素もある作品です。
キノの旅は短編連作で話が進むので、一応どこから読んでもオッケー。
でも初めは、素直に刊行順に読むのがいいと思います。
キノたちの他にも、キノと知り合った別の旅人たちの話や、キノの師匠がもっと若くて旅人をしていた頃の話などもあったりします。
ちなみに作者自らによるトンデモ学パロも出てます。
そのまま『学園キノ』というタイトルなんですが、中身は端的に言ってぶっとんでます。
本編の雰囲気がかけらもありません。
でも結構好きです。
『キノの旅』に話を戻しましょう。
そんな『キノの旅』ですが、数年前に一度アニメ化して、去年また新シリーズとしてアニメ化したのですー。
学生の頃、キノの旅にもうほんとどハマりしてアニメも見た身としては、今回もぜひ見なければと思い、決意通り全話ばっちり見ました。
ちなみにどれくらいハマっていたかというと、原作者時雨沢恵一さんの別作品も全て読み、それまでずっとロングヘアだった髪を、キノに憧れてショートにしたことがあるくらいです。
でも髪質と髪の量的にショートヘアがあまりに似合わなすぎて、金輪際ショートヘアにはしないと学生の時に誓ったんですけどね。
でも最近髪の傷みが半端ないので、一度バッサリ切った方がいいか悩んでます。
さて、アニメ化、特に短編連作系のアニメ化となると、どの話をアニメ化するかという問題が浮上しますよね。
今回のアニメキノの旅のお話は、読者たちからの多数決で人気のお話をアニメ化、というなんとも嬉しいラインナップ。
あと今回は原作絵師さんの黒星さんがゲストキャラのキャラデザに毎話参加されてたので、そういう意味でも必見でした。
今回のキャラデザは全体的に、旧アニメよりも原作により近い雰囲気ですね。
あと映像がめちゃくちゃ綺麗。
キャスティングもすんなり受け入れられました。
個人的には大満足です。
原作で長い話は、どうしても時間の問題で短縮せざるを得ませんでしたが、おさえるべきところはきっちりおさえてありましたし!
大好きなキノの旅のアニメ化、しかも出来もとてもよかったので、BDの上巻買っちゃいました。
円盤の特典の充実性はいわずもがな、ケースのデザインも凝ってて素敵です。
それにしても旧アニメの「優しい国」のサクラちゃんが今アニメではキノだなんて運命的ですね……中の人のことです。
次回予告でもネタにされてましたね。
あと「大人の国」の先代キノがイケメンすぎて危うく恋に落ちるところでした。
心配そうに見てる×××××ちゃんにウインクしてみせるお茶目さとその気遣い、初恋ドロボウかなって感じです。
でもイケメン云々は置いておいて一応原作通りのビジュアルですよね。
短髪に痩躯。
旧アニメではロン毛でメガネの学者さんみたいな見た目だった気がするのですが、新アニメの若い青年姿だと、よりあの展開がキツイですね……。
ところでコミカライズの方のキノの旅は追ってなかったのですが、原作者時雨沢さん自らによる「大人の国」if小説がコミックスに収録されているという情報を入手したので今度買おうと思います。
多分泣きます。
「どうしてこうならなかった……!」って泣く。
それとOP・EDを歌っておられる「やなぎやぎ」さんは今回のアニメで初めて知ったのですが、とても綺麗で好みのお声だったので、ついCDを買ってしまいました。
本当に綺麗なお声をされているので、これからもチェックしようかと思います。
OPもEDも、単純に歌としてもとても好きです。
歌詞もメロディーも!
特にEDの「届かないから美しい」のところ本当に好き……。
iPhoneに入れて、ちょくちょく聴いてます。
最近、昔とても好きだったものに今一度触れる、みたいな機会が多いのですが、今好きなものの源流が垣間見えてなかなか面白いです。
「あ、これのこういうところが昔から好きで、だからハマったんだなー」なんて納得もあったり。
あるいは、「ここで性癖が開花したんだな……」とちょっと遠い目になったり。
あなたも以前ハマったものにもう一度触れてみると、今だからこその発見があるかもしれませんね!
あ、今さらですが今年もよろしくお願いいたします!