國學院大學博物館「神に捧げた刀」展レポ④〜刀剣展示メモ

 

 

 

刀剣展示

展示見ながら書いたメモと一緒に、タペストリーの写真もそえておきます。

私は刀剣乱舞ファン(通称「審神者(さにわ)」)なので、そっち視点でのコメントもちょっとだけあります。

 

・素環頭内反太刀 韴霊(ふつのみたま)大刀 写

f:id:kimigata:20190314210718j:image

初代天皇神武天皇が使ったとされる神剣。

ちなみに今回展示されているのは写し。

つまり元々の韴霊大刀によく似せて作った、オマージュ刀剣です。

奈良県の石上神社の禁足地から見つかった本歌を、菅原包則氏が写したもの。1912年、明治時代の作。

 

反りが日本刀と逆。反りの内側に刃がついてる。

日本刀は、反ってる外側の方に刃がついています。

韴霊大刀は何でこうだったんだろう?

 

f:id:kimigata:20190314210732j:image

大きさはこれくらい。

脇差…いや打刀くらいの大きさでしょうか。

長調べてみたら60cm以上なので、打刀くらいの大きさですね。

 

f:id:kimigata:20190314210741j:image

切っ先の刃文が面白い。霧のようです。

 

 

 

・毛抜形太刀

f:id:kimigata:20190315223012j:image

ポスターに使われている、錆び錆びの刀が「毛抜形太刀」。

これも展示されてました。

平安時代くらいの刀で、遺跡から出土。

鯖で真っ黒、あちこち欠けて、極め付けに真ん中で刀身が真っ二つになってしまっています。

ちょっと痛々しさがありますが、遺跡から出土した刀で、どこかでずっと保存されていたわけではないので仕方ない。

きっと作られた当時は、荘厳で美しい太刀だったんでしょうね。

 

 

 

・薄緑丸

f:id:kimigata:20190315223405j:image

別名「膝丸」「蜘蛛切」「吠丸」。

罪人で試し斬りしたら膝まで斬れたとか、土蜘蛛を斬ったとか、蛇みたいな声で吠えたとか、逸話がたくさんあり、そのたびに名前の変わった刀です。

鎌倉時代の作。箱根神社蔵。

源氏に伝わる重宝で、源義経が持っていたことで有名です。

細身で反りも深くて、「おお、古刀だー」という印象でした。

 

膝丸は、刀剣乱舞ファン的には京都大覚寺の「薄緑」が有名ですが、箱根神社の「薄緑丸」も、義経が使ったとされる膝丸。

 「義経の膝丸」とされる太刀は全国にあって、そのうち有名なのが、大覚寺の「薄緑」と箱根神社の「薄緑丸」なのです。

ちなみに「義経の膝丸」は平安時代に作られた太刀で、大覚寺箱根神社の「膝丸」はどちらも鎌倉時代作なので、ぶっちゃけどっちも以下略。

でも、伝説ってそんなものです。人の想いと願いが物語を作るのです。正否だけが全てではないのです。

 

 

 

・太刀 銘 相州住康國作

f:id:kimigata:20190314210824j:image

戦国時代の武将、小田原城主・北条氏綱が打たせて、鶴岡八幡宮に奉納した太刀。

刀剣乱舞ファン的には、北条氏綱は、「山姥切長義」を長尾顕長にあげた北条氏政のおじいちゃん、と言えば親しみが増す?

拵(刀身をおさめる鞘や、持ち手になる柄など、刀そのものにつける装備のこと)と一緒に展示されてました。

 

写真だとわかりづらいんですけど、刃文が皆焼(ひたつら)でした。ダイナミック。

刀の刃文って、まっすぐだったりぐねぐねしてたり、いろいろ種類があるのですが、その中でも炎のように激しくぐねぐねしてて、刃側のフチだけでなく刀身全体に刃文が入っているのを「皆焼(ひたつら)」と言います。

へし切長谷部ほどのメラメラ具合ではなかったですが、よく燃えてました。

※「へし切長谷部」は、大胆な皆焼(ひたつら)の刃文で有名な日本刀です。福岡市博物館で冬の間だけ見られます。

刃文が二重に見えたのですが、二重刃だったんだろうか。

 

 

 

・太刀 銘 景安

f:id:kimigata:20190315231415j:image

水戸初代藩主、徳川頼房鹿島神宮に寄進した太刀。

 

腰反り高く(反りの中心がはばきのすぐそばにある、という意味。はばきとは、刀の刃と持ち手部分の間にはめる金具。人間でいうとパンツ)、踏ん張りのきいた形(切っ先の幅が狭くて美しい形のこと)で、あー平安時代だなーという感じでした。

 

 

 

・太刀 妙純傳持 ソハヤノツルキ ウツスナリ

f:id:kimigata:20190314210843j:image

「ソハヤノツルキ」は、平安時代の武官・坂上田村麻呂が持っていたとされる剣。

「ソハヤノツルキ ウツスナリ」は、そのソハヤノツルキから名前だけとって鎌倉時代に作られた、三池典田光代作の刀。

徳川家康の愛刀で、久能山東照宮に今も祀られています。

で、今回展示されていた「ソハヤノツルキ ウツスナリ」は、この徳川家康の「ソハヤノツルキ ウツスナリ」の写し(オマージュ)。

つまり、写しの写し。人間の業をちょっと感じる。

宮入昭平氏、1960年、昭和35年の作。

 

身幅広めの印象。刃文は直刃(すぐは。まっすぐの刃文のこと)。

樋(ひ。日本刀の刀身に入れられる細長い溝のこと)が太め。

全体的にゴツい印象でした。

 

 

 

私は粟田口派のきめ細かい肌が好きなので、今回「めっちゃ好み!」って刀剣はなかったですが、刀の歴史に思いをはせるには十分すぎるほどの展示でした。